ドル/円相場は、11月2日の80.68円をピークに、79円台中盤まで軟化する展開になっている。米金利に対して低下圧力が強まる中、日米金利差縮小の動きが、そのままドル安・円高圧力に直結している。米大統領選挙が終わって「財政の崖」を巡る議論も蒸し返されているが、当面の材料出尽くし感から比較的素直に金利動向と連動した展開になっている。
10月上旬は良好な米経済指標を手掛かりに、米金利が急伸する場面が見られた。米実体経済に対する信認が回復する中、異例な金融緩和政策が早期に解除される可能性を織り込む形で、金利上昇圧力が強まった。もっとも、その後は一段と米金利を押し上げることには失敗しており、概ね9月下旬の水準まで戻している。特に米経済見通しが悪化している訳ではないが、これまでの過熱していた金利上昇圧力を是正する動きが、そのまま日米金利差縮小を通じてドル安・円高圧力に直結している。今月も米雇用統計が比較的良好な数値になったが、当面は緩和的な金融政策スタンスが継続されることが再確認される中、米金利上昇余地は限定されよう。このため、再びドルの上値が重い展開を想定しているが、逆に米金利の低下余地も限定されていることを考慮すると、従来の78~79円のレンジに回帰する動きに留まろう。
一方、ギリシャ支援問題が引き続き円高圧力として機能している。ギリシャ議会は8日に緊縮財政策を承認したが、12日のユーロ圏財務相会合での支援決定は見送られる見通し。ただ、16日に満期を迎える短期債50億ユーロのデフォルト(債務不履行)は回避される見通しであり、欧州債務不安が円買い圧力をサポートするも、ドルの急落リスクは限定される見通し。ドル売り・円高がやや優勢な地合を想定しておけば十分だろう。
今後1週間の予想レンジは、78.50~80.00円。